さすらいのハル、異論反論日記

ドラマや映画、漫画やニュースに言いたい放題言わせて頂きます。

時給1000円って安いですか、高いですか?

 前のブログの続きです。逃げ恥のみくりの給料とも関連のある話。私は2001年、正社員の職を投げ捨てて無職になりました。民間企業の同期を競わせて駄目な奴からクビを斬る風習とか社長の顔色を窺う企業文化を敏感に感じ取り、文字どおり投げ捨ててやりました。

   そこで見つけたのが公務員のアシスタントのアルバイトです。公務員なら上司と喧嘩してもクビにならないんじゃない?同期以前に年下の正社員のアシスタント扱いだから競わなくて良いし。しかし、今思うと厳しい条件ではありました。時給千円、1日8時間で8千円。週4日勤務。昼食代は天引き。月給換算だと月10万ちょっとでした。この仕事、当時はそんな言葉無かったけど契約社員の走りです。契約社員をしている方は何を当たり前なことと思われるかもしれないけど、お盆正月をはじめ長期の休みがある仕事だったのでその間は完全に無収入でした。

    当時小泉政権で経済底上げ政策の一環としてこの職が生まれたらしい。何枚かそのような書類を書かされた覚えがあります。こんな仕事引き受ける人はそれほど多くなく良家の子女で地元の名門大卒で腰掛けの子が一人いたっけ。あとこの仕事で足りない分パチプロで月10万稼ぐって人もいました!

   仕事内容は伏せますがある重要な資格を伴う仕事だったのでそれなりに専門知識はないと無理な仕事でした。仕事は一言で言うと「ラク!楽しい!大好き(それはドリカムだ)」。ただしアシスタントなのでペアを3人の大人(当時私は25歳)と組みましたが、こき使う人もいれば自分の仕事を他人に任せない人もいて千差万別でした。でも、専門の雑務は完璧だったし、ペアを組んだ人の中には働くお母さんや闘病生活を送っていて年休を頻繁にとってた人もいたのでその穴は完璧に埋めた自信はあります。

   それ以外は暇なこともしばしばで、その時間私は公務員採用試験勉強に充ててよいことになってたらしいのですが、別に興味ないので、雑用を引き受けることにしました。さて、そこで千円の出番です。専門職としての対価が千円というのは今まで資格取得に費やした教育費に見合わない。しかし雑用ごときで千円。私も若かったし、喜んでやりました。お茶汲み、台所周りの掃除、コーヒーメーカーの手入れ、コピー、印刷、お客様の対応。高学歴女子がする仕事かって?私親の方針で勉強以外の教育を受けたこと無いんで何やらせても中途半端ですが、だってたかが千円ですから。

   アシスタントっていう仕事は服装規定も緩かったので、私の楽しみは帰りに自転車でユニクロに寄り、処分品・返品コーナーで千円前後の洋服を漁ることでした。

    また、週4日勤務を憐れんでくれた管理職が市役所主催「子ども英会話教室ボランティア」講座の講師の口を世話してくれたのも楽しかった。ボランティアの講師なのに2時間で謝礼5千円。本来ならこの仕事は地域新聞に載せたり国際交流協会などに募集をかけるのですが、市役所的にも身元調査バッチリな私はどこかの主婦より雇いやすかった。実際私のアシストについてくれた主婦の方はいい人なんだけど何かにつけて「ちょっとお休みさせてもらいます」の連続だったから、そりゃ信用なくすよね。でも、同じくアシストについてくれた市役所国際交流協会勤務のキャリア女性は英語教育が専門では無いのにめっちゃ仕事ができて美人で素敵な人に会えたと感激しました。今も彼女とは市役所で挨拶します。夏に役所を地域開放しましょうという目的で開いたパソコン教室の講師にも呼ばれました。私パソコンの知識なんて最低限度しかないですけど。時給千円なんで、いっか。おじいさんやおばあさんにネットの見かたやWord文書作成を教えるだけの仕事なのでなんとか切り抜けました。

    そんな感じで25歳の私の中で培われた金銭感覚は千円くれれば大抵の仕事は引き受けましょう、なスタンスです。だからスーパーやコンビニやレストランはあんなに複雑な仕事なのに時給800円で引き受けて凄いな、私は無理かもなという偏見をも植え付けました。専門の英語教育の仕事は本当はもうちょいお金を払って欲しいけど大学受験とかじゃなければ別に大した手間じゃ無いんで千円くれればその場で見るよ。でも、結果にケチつけるのやめてよね。前のブログに書いたけど慣れない仕事で準備に5時間かかるんなら「時給千円はな、どうしようかなー。今後もこの仕事で千円貰い続けられるかどうかで決める。」といった具合です。

        ただ、金くれるところに行ってキッチリ仕事して、用が済んだら人間関係は無視して去る。篠原涼子主演の「ハケンの品格」というドラマのテーマでもあるし、逃げ恥のみくりの生きる際の基本姿勢でもあるらしい。私もハケンの品格には他人ごとじゃ無いなという親近感を感じました。さすらいのハルという名前もこの辺の考え方からとったものです。

    みくりは大学院で資格を取った臨床心理士になれなくても大丈夫なのだろうか。お金さえくれれば家事代行も商店街のお手伝いもしちゃうのかな。そこがやはり夢を追わないゆとりさとり世代なのか?

みくりが昨日「やりがいの搾取」を持ち出した時、プロポーズを断ったとき、この小賢しさって…覚えがある…みくりと同い年のときの私がその瞬間、10年ちょい前から呼び戻されました。

     私のその後ですが、アシスタント業務が大いに評価され正社員、つまり公務員に昇格しました。試験勉強一つもしてないのに採用試験に合格しちゃったんです。元々さすらい気質なので、退職後世界をさすらった後、あのアシスタント業務まだ募集してますか〜?って近隣市いくつかの市役所に訊きに行ったところ、もうその仕事自体廃止されたとのこと。千円くれればまた公務員のお仕事したいんですけど。あの仕事、人の役に立ってますよ〜。